投資で一番儲かったのは死んだ人だった

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「投資で一番成績が良かった人は、死んだ人だった」

この話、聞いたことがある人もいると思います。

口座の存在を忘れていた人と、亡くなった人。売り買いを一切しなかった人たちの成績が、一番良かったという逸話です。

ぼくはこの話が好きで、何度か人にも話したことがあります。

でも今回、記事にする前に出典を調べたら、思っていたのと違う話が出てきました。

結論から言うと、この話が本当かどうかより、ぼくが評価額を見ない仕組みに頼っている理由に行き着きます。都市伝説と実話の見分け方に興味がない人は、後半まで読み飛ばしてもらっても大丈夫です。


「フィデリティの調査」は、実は出典不明だった

この逸話は、よく「フィデリティ(米大手運用会社)の調査で分かった」という形で語られます。

ぼくも調べる前は、そうだと思い込んでいました。

でも実際に調べてみると、この調査、どこにも見つかりません。

フィデリティ自身がこの話を確認できておらず、海外のファクトチェック記事でも「出典不明の都市伝説」として扱われています。ポッドキャストで語られた話が記事になり、その記事がまた別のポッドキャストで引用され、気づいたら「フィデリティの調査」として広まっていた、という経緯のようです。

正直、ちょっとがっかりしました。

いい話だと思って何度か話していただけに、「実は都市伝説でした」と自分で書くのは気まずいです。でも、事実と違う話をそのまま広める側にはなりたくないので、ここは正直に書きます。

逸話の出典が無いことに驚くひろと

この話をした相手の顔が何人か浮かんで、地味に気まずくなりました。


でも、元ネタになった「本物の話」はあった

都市伝説を調べている途中で、実在の人物の話にたどり着きました。

ロナルド・リードさんという、アメリカ・バーモント州の人です。

ガソリンスタンドの店員として約25年、そのあとJCペニーという店の清掃員として17年働いた人でした。

2014年、92歳で亡くなったとき、家族も知らなかった約800万ドル(当時のレートで9億円前後)の資産が見つかりました。

中古のトヨタ・ヤリスに乗り、コートのボタンの代わりに安全ピンを使い、90代になっても自分で薪を割っていたという、徹底して質素な暮らしをしていた人です。

やっていたのは特別なことではなく、大手企業の株を長期間買い続け、ただ持ち続けることでした。株価を頻繁にチェックしていた形跡もありません。

この話は都市伝説ではなく、Wikipediaにも項目がある実話です。「地味な生活をしながら、じっと持ち続けた人が結果的に一番増えていた」という核の部分は、フィデリティの逸話と驚くほど似ています。


都市伝説だとしても、原理は間違っていなかった

「フィデリティの調査」自体は無くても、「頻繁に売買する人ほど成績が悪い」という研究は、実際に存在します。

カリフォルニア大学バークレー校のテリー・オディーン教授とブラッド・バーバー教授が、1991〜1996年の66,465世帯の証券口座を調べた研究があります。

この期間、市場平均のリターンは年率17.9%でした。それに対して、最も頻繁に売買していた層の年間リターンは、たった11.4%でした。

平均的な世帯でも16.4%でした。

同じ相場を見ていたはずなのに、頻繁に売買した層と市場平均の差は年6.5ポイントにもなります。「動かさない方がいい」は、感覚論ではなく数字で裏付けられていました。

都市伝説は都市伝説として、根っこにある「動かさない方がいい」という部分は、ちゃんとした研究の裏付けがあったわけです。

都市伝説(フィデリティの調査)と実話(ロナルド・リードさん)の比較。動かさない方がいいという結論だけは共通している


ぼくが「気絶投資」をしようとしている理由

ここからは、ぼく自身の話です。

新NISAを一度設定したら見ない仕組みにしたのも、2025年の下落局面で評価額が2割減ったときも売らずに続けたのも、理屈としてはロナルド・リードさんやオディーン教授の研究と同じ方向を向いています。

見なければ、動かさずに済む。

正直に言うと、ぼくは意志が強いタイプではありません。評価額を見れば気になるし、下がっていれば不安になります。

だから「見ない」という仕組みそのものに頼っています。都市伝説だろうと実話だろうと、「動かさない方がいい」という結論が同じなら、その結論だけ借りればいい、というのが今のスタンスです。

気絶投資に納得するひろと

「見なければ気にならない」を確かめるために、あえて通知をオフにした日のことを覚えています。

ちなみに、投資していることを人に言わない理由にも書きましたが、周りに投資の話をすると「大丈夫?」と心配されて、また評価額を開いてしまうことがあります。気絶投資は、自分の意志だけでなく、周りとの距離感でも成り立っている気がしています。


ここに書いたのは、ぼくが調べた範囲の話と、自分の体験です。投資の判断は自己責任でお願いします。都市伝説と実話を混同しないよう、事実関係は本文中に書いた出典で確認してください。

まとめ

  • 「死んだ人が一番儲かった」という話は、フィデリティの調査としては出典不明の都市伝説
  • ただし元ネタに近い実話(ロナルド・リードさん)は実在し、質素な生活と長期保有で約9億円を遺した
  • 「頻繁に売買する人ほど成績が悪い」という原理は、オディーン教授の研究で裏付けられている
  • ぼく自身も、意志の強さより「見ない仕組み」に頼って気絶投資を続けている

今日できる1アクションは、自分の投資アプリの通知設定を1つ見直すことです。

評価額の変動通知が来る設定になっているなら、それを切るだけで、見る回数がひとつ減ります。

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ひろと

ひろと

40代のシングルファーザー。5歳で母を亡くし、父子家庭で育ちました。今は息子と2人です。
「息子には、選択肢の多い人生を。」その思いから、貯める → 増やす「お金の順番」を実践しています。

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